ここから、木製と同じような製作は出来なくなります。
木製は、長い木片を貼っていくようようですが、
金属はそういうわけにはいきません。
ここが職人の腕の見せ所です。
骨と骨との間の形状を、ボール紙で型取りをします。
そして、型取った紙を地金に写します。
切り取った地金を、今度は焼きます。地金は、
焼くとやわらかくなります。私たちの間では『なます』と
言います。地金は赤くなますと、黒く変色します。
その変色を取るために、硫酸につけます。
それから水洗いできれいに元の表面に戻します。
次は地金を、船体のアールに合わせて曲げる作業に
入ります。曲げる方法は、仕事で使っている木づちと
鉄のアテを使います。合計12個を順番に焼きコテで
ハンダ付けしていきます。
ここからが木製でも難しくなるように、金属でも
かなり難しくなってきます。
まず、底に三角状の1.2ミリの銅版を前後に足しました。
そして同じく、骨組みを一つ飛ばしでボール紙で型を取ります。
それで地金に写して、同じようになまして地金をやわらくします。
飛ばした骨のところに2.5ミリ程ののぞき穴を開けます。
木づちと金トコを使い、のぞき穴を見ながら、中飛ばしした
骨組みが地金に沿うように叩いていきます。
ここからはアールが急なので、骨組み一つずつの間の
寸法をボール紙で型取りし、同じように製作をしていきますが、
かなり時間と手間のかかる部分です。
先端も同じように骨ひとつ飛ばしにし、のぞき穴を開け
組み付けて、最後にのぞき穴もハンダでフタをします。
大体のタイタニック本体の形が出来ました。
この時の重さは、おそらく8キロに達したと思います。
一番難しかったのは、この船尾の丸みのある所です。
ある程度アールを付けておいた地金を、少しずつ叩いては
ハンダ付けをし、船尾の形を整えました。
そして、120番のペーパーで全体を整えます。